Brera質アキヤマ 知るほど・なるほど

質屋の社長 秋山実です Vol.10

2016年02月12日

初めての質流れバーゲン

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私を導いてくださった、修行先の質屋のM社長。今となっては亡き師になってしまいましたが、短い修業期間中、私にさまざまなことを経験させてくださいました。

ところで皆さんは、百貨店などの催し会場で行われる「質流れバーゲン」に行ったことはありますか? 質流れバーゲンとは、返済期日が過ぎたなどの理由で流れたものや、質屋がお客様から買い取りした商品を販売するイベントです。

私が初めて、質屋側の人間として質流れバーゲンに行ったのは、修行中のある夏の日のこと。今でもはっきり覚えています。会場は、千葉のパルコでした。ショーケースを並べ、商品を陳列しながら、「いったい、どんな感じなんだろう」とのんきに考えていました。

いよいよ、バーゲン初日。パルコの開店時間と同時に入店されたお客様が、会場にどっと流れ込んできました。そして、私の目の前では、信じられない光景が繰り広げられたのです。


お客様の情熱あふれるバーゲン会場

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質流れバーゲンには、全国からたくさんの質屋が集まります。千葉のパルコの催し会場では、質屋ごとに店を並べるのではなく、「バッグ」「宝石」など、商品カテゴリーごとに売り場が分かれていました。

私が配置されたのはバッグ売り場です。その活気たるや、お客様の勢いに押され、商品を並べた重いショーケースが動いてしまうほど。私は、ショーケースを元の位置に押し戻さなければなりませんでした。そんな私をよそに、お客様は何個かのバッグを手に取り、いったんその場を離れます。やがて、買うバッグ・買わないバッグが決まったのでしょう。元の売り場に戻ろうとされるお客様。しかし、ごった返す売り場に、そのお客様は近づくことさえできません。「どうされるのだろう」と思ってみていると、買わないバッグを、元の場所めがけてポーンと投げ返したのです! これは、やむを得ないことでした。私は、拾ったバッグを並べ直しました(苦笑)。

会場は熱気に包まれました。お客様も私も汗だくです。それでも、お客様のお買い物は続きます。バッグ売り場を後にすると、次なる戦場である宝石売り場にドドドと移動していかれました。福島県のいわき市に生まれ育った私にとっては、衝撃の光景でした。「これが都会の質屋のバーゲンなのか」。(続く)